• 潰瘍性大腸炎について
  • 潰瘍性大腸炎(UC)の治療の進め方

潰瘍性大腸炎(UC)の治療の進め方

『潰瘍性大腸炎の治療指針』では、病型や重症度別に分けた治療が提示されています。

■潰瘍性大腸炎の治療

直腸炎型と左側大腸炎型/全大腸炎型に分けて、使用する治療薬を検討します。さらに、左側大腸炎型/全大腸炎型では、重症度別に治療薬を検討します。

【潰瘍性大腸炎 治療指針:治療のフローチャート】

【潰瘍性大腸炎 治療指針:治療のフローチャート】 【潰瘍性大腸炎 治療指針:治療のフローチャート】
  • 6-メルカプトプリン(6-MP)及びシクロスポリン持続静注:現在保険適応には含まれていない

厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(鈴木班)
令和元年度分担研究報告書 潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 令和元年度 改訂版. p.12

■難治例の治療

ステロイドは潰瘍性大腸炎の治療薬の一つですが、ステロイドの効果が不十分な患者さん(ステロイド抵抗例)や、ステロイドを減量すると症状が悪化する患者さん(ステロイド依存例)がみられ、これらの患者さんを難治例と呼びます。難治例の患者さんに対しては、ステロイド以外の治療を検討します。

【潰瘍性大腸炎 治療指針:難治例の治療】

【潰瘍性大腸炎 治療指針:難治例の治療】 【潰瘍性大腸炎 治療指針:難治例の治療】
  • ステロイド抵抗例:ステロイドによる適正な治療にもかかわらず、1~2週間以内に明らかな改善が得られない場合
  • ステロイド依存例:プレドニゾロンの減量に伴って増悪または再燃が起こり離脱も困難な場合
  • 6-MP:現在保険適応には含まれていない

厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(鈴木班)
令和元年度分担研究報告書 潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 令和元年度 改訂版. p.13

* 重症度(軽症、中等症、重症)の診断基準は次のように提示されています。

※ 重症度(軽症、中等症、重症)の診断基準は次のように提示されています。 ※ 重症度(軽症、中等症、重症)の診断基準は次のように提示されています。
  • ・顕血便の判定:(−)血便なし、(+)排便の半数以下でわずかに血液が付着、(++)ほとんどの排便時に明らかな血液の混入、(+++)大部分が血液
  • ・軽症の3)、4)、5)の(-)とは37.5℃以上の発熱がない。90/分以上の頻脈がない、Hb10g/dL以下の貧血がない、ことを示す
  • ・CRPの正常値は施設の基準値とする
  • ・重症とは1)および2)の他に全身症状である3)または4)のいずれかを満たし、かつ6項目のうち4項目以上を満たすものとする。軽症は6項目すべて満たすものとする
  • ・中等症は重症と軽症の中間にあたるものとする
  • ・潰瘍性大腸炎による臨床症状(排便回数、顕血便)を伴わない赤沈やCRPの高値のみで中等症とは判断しない
  • ・重症の中でも特に症状が激しく重篤なものを劇症とし、発症の経過により、急性劇症型と再燃劇症型に分ける。劇症の診断基準は次の5項目をすべて満たすものとする。①重症基準を満たしている ②15回/日以上の血性下痢が続いている ③38℃以上の持続する高熱がある ④10,000/mm3以上の白血球増多がある ⑤強い腹痛がある

厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(鈴木班)
令和元年度分担研究報告書 潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 令和元年度 改訂版. p.2